リアルの魅力 †
- 場所は機械炉SIGMAから夜明けの見張り塔の間辺り。
錆びた風力発電機群の中の1つ。倒れた風力発電機の上に置いてある。
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データ破損:部分的
「肌で感じないとね」ホロツーリズムの利便性より本物を好む若者たち
2063年2月10日
初めてエディー・ウェストレイクに会ったのは、バンコクで彼が泊まってたユースホステルの外にあるピクニックテーブルで、彼が昔風の紙タバコをふかしてプラスチックのイヤホンで何かを聞きながら頭を揺らしてるとこだった。
「2000年頭くらいのポップ、聞いたりする。?」と尋ねてきて、「イケてるぜ。ほら」
と片方のイヤホンをはずし、Tシャツで一通りふいて渡し、ファロ・フォーカス6dの後ろに隠れた私の耳にセットした。
スクムウィット通りが活気づく中、しばらく二人で座って古めかしいピップポップを聞いていた。こっちはまだ朝だ。
ちなみにこっちっていうのは文字どおり「ここ」で、西洋人が思い描くバンコクの怪しげなオリエンタルテイストを真似たバーチャルスペースでは決してない。
ここに来るために高速機に飛び乗ったし、帰る時にもまた飛び乗ることになる。
エディーは近年増えつつある、ホロツーリズムの万能性を拒絶して、自らの足で旅をする主義の若者の一人だ。
実際に荷造りをし、高速機に乗って、技術的な拡張無しで、遠く離れた場所に出かける二十代の数は、増加傾向にある。
利便性よりも物事の真贋を重視する若者文化の影響だろう。
「肌で感じないとね」とエディーは言いながら、我々の眼前に広がる景色をなんとなく指差す。
土産物屋、三輪タクシー(自動運転、人力運転、両方ある)、そして露店式のパッタイ屋台。
エディー同様、時代錯誤のファッションに身を包んだ若い男女がそれらに行列を作る。
「これ全部、水の底だったんだぜ?プーケットに友達がいるんだけど、2年かけてそこの寺院の再建を手伝ってた。フォーカスでそんな体験できないだろ?」
心のどこかで、エディーのリアル志向は所詮見せかけで、(私を含む)親世代と自分を差別化しようとあがく金持ちの息子なのだと思ってしまう部分がある。
しかし、だからといって彼が-[データ破損]
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